
寺島実郎(てらしま・じつろう)/日本総合研究所会長。1947年生まれ。米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産常務執行役員などを経て2016年6月から現職。多摩大学学長も務める。94年の著書『新経済主義宣言』が石橋湛山賞受賞。近著に『21世紀未来圏 日本再生の構想──全体知と時代認識』。ほか、著書多数(撮影:梅谷秀司)
コンサル会社が地方創生を掲げながら自治体を喰い物にしている実態に迫った特集「喰われる自治体」から1年。本特集では、寄せられた告発を基に第2弾を展開する。
『全47都道府県幸福度ランキング』は、私が会長を務める一般財団法人日本総合研究所が2012年から隔年で刊行してきた。
人々の幸福度を測る調査は世界中にある。重要なのは、どういう価値観の下で、どんな指標を物差しとして採用するかだ。
社会保障制度で手厚い保護を受けられる社会民主主義的な高福祉国家が幸せなのだという価値観の下では北欧諸国がランキングの上位に来るし、「名もなく貧しく美しく」でよいというわけではないが、経済力や産業基盤が弱くても、みんな仲良く平和に暮らしていけるのが幸せなのだという価値観で測ればブータンがトップに来る。
地域力・行政力を測る5つの基本指標
日本総研では、経済的要素も重視し、地域に生きる人々の幸福を実現するための基本要素をまず踏み固めることが必要であると考えた。そうした観点から基本指標に据えてきたのは①人口増加率、②一人あたり県民所得、③選挙投票率、④食料自給率、⑤財政健全度の5つ。いずれも各都道府県の基礎的な地域力・行政力を測る物差しである。

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