《性的広告停止》で終わりではない!ネット広告「無法地帯化」で業界と広告主が向き合うべき大問題

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広告を出す側、載せる側が「性的広告」について踏み込んだ決断を下した。ただ、無法地帯と化しているネット広告の現状を変えるには、さらなる取り組みが不可欠だ(写真:Ystudio/PIXTA)

電子コミック配信大手が加盟する日本電子書店連合は6月4日、「全年齢向けサイトでの性的コミック広告配信停止」を宣言した。性的広告について事業者側が明確な対処を表明した、初めての事例だ。ネット広告の問題全般にとっても非常に大きな一歩となる。

一方、広告を掲載する側も動いていた。インターネット広告に携わるメディアや広告代理店、プラットフォーム事業者が加盟する業界団体、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が5月14日、「性的表現を含む広告の掲載・配信に関する注意喚起」を公開したのだ。

これまでもJIAAは、ネット広告に関連する調査や指針を発表してきた。ただ、今回の注意喚起には、子どもが多く閲覧するサイトには性的広告を配信しない旨が書かれているほか、性暴力を描写した広告は配信を拒否すべきとの内容も含まれており、一段と踏み込んだ提言になっている。

今年3月、レシピ動画サービスのクラシルと生活情報誌オレンジページが、自社サイトに流入した性的広告を停止し、配信設定の見直しを行った。筆者は当時「スピーディな対処はかえって評価された」と記事に書いた

だが、問題の火は鎮火していない。あれから3カ月余り経った今も同種の広告はほかのWebサイト上で散見されている。電子コミック業界の対応やJIAAの注意喚起をきっかけに業界全体として、そして何より広告主側がネット広告の社会的問題について動くときが来ている。

市民団体の署名活動に10万筆超が集まる

性的広告の問題は、3月に表面化するずっと前から、主に小さな子どもを持つ親たちを困らせてきた。タブレット端末で子ども向けのサイトを親子で見ていると突然、性的コミックの広告が表示される。そんな事態が、日常的に起こっているのだ。

市民団体「性的なネット広告のゾーニングを目指す会」では昨年9月からオンライン署名を展開。署名は10万筆を超え、6月4日に子ども家庭庁に提出した。

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