「東大は中国の受験敗者の逃げ込み先?」≪中国受験戦争≫塾代200万円超、合格率は約3割の苛烈

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中国人の間では「望子成龍」(わが子が学業でよい成績を収め、立身出世することを望む)という夢が永遠に続いており、「受験戦争」は子どもが生まれたときから始まる。

高考を直前に控えた5月末、受験生たちはすでに「戦闘モード」に入っている。ある受験生は「頭の中は高考のことだけ」と話す。

受験生の母親の一人は、ため息交じりに語った。「我が家の受験戦争は小学校から。子どもをよい小学校に入学させるために『学区房』(よい学校がある地域の物件)を買い、全財産を子どもに投資してきた。中学から高校も競争が激しく、普通高校に進めるのは半数。子どもは何とか普通高校に進んだが、成績は振るわず……。いい大学に行けないかもと思うと、自分の人生が失敗した気がした」。

娘が昨年受験を終えたという富裕層のお父さんは、ややリラックスした様子で受験の事情を明かしてくれた。「ここ数年、政府は学習塾(課外補習機関)の管理を強化してきた。一部の保護者は『補習機関は儲けすぎだ』と不満を漏らしていた。しかし実際には、多くの親たちが週末に子どもをこっそり補習塾に通わせており、特に『マンツーマン指導』は盛んである」。

「私の娘も、昨年1年間の補習費用が少なくとも10万元(約200万円)を超えた。さらに進学プランナーに支払った費用も数万元。子どもが毎日12時間勉強するのは最低限だ。幸い、娘は去年、まずまずの大学に合格した。私たちがこれまで費やしたお金も、報われたと思う。入試制度の改革は何度も行われたが、実質的に何も変わらないではないか……」(同上)

熾烈な争いを背景に”受験ビジネス”が隆盛する

近年、受験生を対象にサービスを提供する新たな職業が生まれた。「升学规划师(進学プランナー)」と「高考志愿填报师(大学入試志望校コンサルタント)」が人気職業になっている。

江蘇省南京市で科学技術や科目競技の学習指導を行う湯さんに取材をした。筆者が「進学と志望校選びの指導は、本来であれば学校が担うべきものではないか。なぜ今では学校がその役割を果たせなくなったのか?」と問うと、湯さんは率直に答えた。

「学校の先生は基本的に授業を担当するだけだ。それでも負担が大きいと思う。高校や大学入試に向けた進路指導については、先生は責任を負っておらず、そのための時間や専門的な知識も持ち合わせていない」と湯さんは現状を分析する。

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